2011年10月15日土曜日

パン・オー・ショコラとか。

ルーブル美術館とチュイルリー公園の間、金色のジャンヌ・ダルク像のすぐ前にホテル・レジーナがあります。


かなりの高級ホテルです。レジーナって女王様の事ですね。1900年のパリ万博の際に創業、映画撮影なんかにもよく使われるそうですし、第二次世界大戦中はドイツ軍の宿舎だったとか。


建物自体はこの界隈ですから第二帝政時代のものでしょう。この場所には元々はルーブル宮殿用の厩舎があったんだとか。ナポレオン三世とオスマン知事のパリ大改造の時に建てられたものですね。


おっさんがこんな高級ホテルに泊まる事は絶対にありませんし(威張れる事じゃないだろう)、ホテルのレストランも相当なレベルですが食事をした事もありません。

じゃ何でこのホテルの事を書こうと思ったのかというと…これがあるからです。


1919年5月5日 日曜日、ホテル・レジーナに於いてアメリカ・フランス・イギリス・イタリア・日本の赤十字社が「赤十字社連盟」を結成し、これが後に国際赤十字社・赤新月社連盟となった。

赤十字は皆様ご存知かと思いますが。赤新月(というよりは赤三日月ですよね)とは赤十字と同じなんですが、イスラム圏での名前です。赤十字のマークは創立者アンリ・デュナンの出身地であるスイスの国旗を赤白反転させたものですが、やはり何にせよイスラム圏では十字そのものに抵抗がある様で、赤三日月になったんですね。三日月はイスラム圏では神聖なもので、国旗なんかにも結構使われてますが、満月はあんまり縁起の良い物ではない様です。青い月の光は人の心を狂わせると言われてるんだそうで。(舟戸与一氏「血と夢」参照です)。まぁキリスト教国でも満月というのは狼男とかドラキュラとか、ちょっと危ないイメージですし、英語でルナティック(Lunatic)、フランス語でリュナティック(Lunatique)と言えば「狂人」「変人」の意味ですしね。

それはさて置き。イスラエルでは赤十字でも赤新月でもなく、「赤ダビデの星(六芒星)」です。
それもいいとして、国際赤十字の創立当初から日本赤十字社が関わっていたとはちょっと意外でしたね。そしてその後1939年にジュネーヴに移転になるまで、赤十字本部はパリにありました。

ところで、プレートをよく見ると、「赤新月社」の事を「クロワッサン・ルージュ」と書いてあるのがわかりますか?「クロワッサン」とは三日月の意味ですね。あの、パンの「クロワッサン」もちゃんと三日月形をしてます。また上記の通り、三日月はイスラム圏では国旗なんかにも使われる神聖な印で、「Le Croissant」と大文字から始めると固有名詞となってオスマントルコ帝国を意味するそうです。

月や星の象徴的な意味とか掘り下げて行くともっと色々と出て来そうですねぇ。

ふーむ。レジーナホテルは単なるダシだった訳ね。

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