2011年11月11日金曜日

「Qu'est-ce que c'est?」

「これは何ですか」英語の「What is this?」にあたるフランス語ですね。

「簡単だよ、『ケツ臭ェ』って覚えときゃ良いんだ」とのたまったのはロサンジェルスの寿司屋の板さんでしたが。
「ケスクセ?」と読みます。あれだけ文字が並んでるのに発音してしまえばたった4音?
フランス語って表記と発音が結びつかないというか、日本の旧仮名遣いを思わせるものがありますね。

子供の頃、うちに「のらくろ」復刻版が全巻ありまして、のらくろは最後は喫茶店のマスターになって終わるんですね。ってそれはさて置きおっさんはこれで旧仮名遣いを覚えたのですよ。
まぁ、今の人達も「○○しませう」なんてのは普通に使ってますが、「あふぎ」とか「やくわん」とか「たうばん」とか「ゆくわい」とか、今はあまり見なくなりました。
阿川弘之さんがなんかの雑誌の(「新潮」だったかな)のコラムを旧仮名遣いで書いてますよね。

日本でもフランス車ファンの方はいらっしゃいますが、
Renault=ルノー、Peugeot=プジョー、初めての方には読みづらいでしょうね。

フランス語では母音が重なるとそれをひとつの音にまとめて発音しちゃうのが多いですね。

A+U=お 車のAudiはフランス語では「オディ」です。

O+I=わ おっさんの知り合いに及川(おいかわ)さん(仮名)という人が居ますが、フランス人さんはほぼ間違いなく「ワカワ」と読みます。因みにフォワグラは鴨(Canard)のとガチョウ(Oie)のがありますが、このガチョウ、フランス語でOieも「ワ」と読みますね。

A+I=え パリに「来々軒」というラーメン屋さんがあります。ラーメン屋の代名詞みたいな名前ですが、実際にはあんまり見ない屋号ですよね。「ライライ軒?違いますよ、うちはクルクル軒です!」というのは「欽どこ」のネタですが。懐かしー。で、このパリの来々軒さんのフランス語表記はLaï Laï Kenです。フランス語のRの音が独特で発音しにくいのでRでなくてLにしたんでしょうか。で、このiの上についてる点々をトレマといいまして、「このiは前の母音とは分けて発音する」という記号です。これを付けてなければ普通のフランス人は「レレケン」と読むでしょうね。
 
母音に限らず、子音の読み方にも特殊な法則がありますしね。

朝比奈(アサヒナ)さん(仮名)がパリの役所の待合室で順番を待っていました。やがて係員さんが「Mr.アサーン?Mr.アサーン!」と呼びましたが、みんな顔を見合わせるだけ。あれ?居ないの?これは読み方の問題と脱字のダブルパンチだったのですね。Asahinaさんの名前を係員さんが控えた時、Aを一個書き落としてしまいAsahinになっていたのですね。フランス語はHを発音しませんから「Hi」は「イ」になります。さらに脱字でHinaがHinになってしまい、フランス語では「in」は「アン」と発音しますので、「アサアンさん、アサーンさん」。アラブ人にありそうな名前です。

同じパターンで例えば荻野(オギノ)さんの場合、OginoのOを書き落としてOginとなったら、フランス人さんは「オジャン」と読むでしょうねぇ。

昔々にパリにやって来た日本の先人達も、フランス人に名前をちゃんと読んで貰う為に色々工夫した様です。

大正2年(1913年)に渡仏し、ヨーロッパ画壇で東洋を主張し、第一次世界大戦後はその「乳白色の肌」で人気を博し、社交界の寵児ともなった藤田嗣治の絵のサインは「Foujita」ですね。普通にFujitaと書いた場合、フランス人は「フュジタ」と発音してしまいます。フランス語はO+U=「う」になりますから、「フ」と読んで貰う為にFuでなくFouにした訳です。


昭和2年(1927年)に渡仏したのは荻須高徳。稲沢市に荻須記念美術館がありますね。
嗣治とは対照的に、ユトリロやヴラマンクの影響を色濃く漂わせ、パリを愛し、描き続けた彼のサインは「Oguiss」。日本風に「Ogisu」と書くと、フランス人は「オジズュ」と発音します。「フュジタ」よりも深刻ですね。フュジタならまだフジタの事だなとわかるけど、オジズュじゃもう原型を留めてません。


フランス語のGはGa=ガ、Gu=グ、Go=ゴですが、Giはジ、Geはジュまたはジェになります。これはCも同じで、Ca=カまたはキャ、Cu=クまたはキュ、Co=コですが、Ciはシ、Ceはスまたはセになります。

あー面倒臭い。あー鬱陶しい。

フランス人が日本の発音と同じ様に読める「フランス人のアルファベットの読み方に則した日本語の五十音:アルファベット表記の対訳表」ってのを作ったら売れますかね?

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