2011年5月1日日曜日

少年ジャンプ読者でない方々、ゴメンナサイ。

さて本日は5月1日です。フランスのこの日には二つの意味があります。

一つは鈴蘭の日。
5月1日にはフランス中あちこちで鈴蘭を売ってます。それも、普通の(特に花屋さんでもない)人達が、バケツや洗面器の水に浸けた鈴蘭を路上で売ってるんですが、「無許可営業(?)」であるにもかかわらず、警察も何も言いません。今日は野や森から鈴蘭を摘んで来て、街角で売ることは黙認というか、習慣としてOKなんですね。

5月1日の鈴蘭という風習はシャルル9世時代から始まったと言われてますね。(関係無いけどシャルル9世はエイプリルフールの起源とも言われてます。ただしあくまでも俗説であって、本当にそうかは確認されてませんが。)元々ヨーロッパには本格的な春の訪れである5月1日に春祭りをする習慣はあった様です。(イギリスでは単純明快、「メイフェア(五月祭)」ですね。)1561年、幸運のシンボルとされていた鈴蘭を贈られたシャルル9世はこれがお気に召した様で、それ以降、毎年宮廷の御婦人方に鈴蘭を贈ったんだとか。現在でも今日は大切な人の幸運を願って鈴蘭を贈る日です。

そして5月1日の前夜がヴァルプルギスの夜で、魔女がサバトを開く夜なんていわれたそうです。これはケルト時代、一年を暖期と寒期に分けたうちの暖期が始まる5月1日の春祭りの前夜ですね。そして寒期が始まる11月1日、諸聖人の日(ハロウマス)の前夜(イブ)が「ハロウィーン」ですね。

そして5月1日といえばメーデー。
こちらは1886年にアメリカで起こった、8時間労働を求めるストライキが起源ですね。当時は12時間以上の労働が当たり前だった時代で、「8時間労働、8時間休息、あと8時間は自分のやりたい事の為に使える様に」という要求を労働者達が掲げた訳ですけど。「当時はそんなに酷い労働条件だったの?」と驚くか、「今も昔も労働条件は大して変わってないな」と溜息をつくかは人によって違うんでしょうね。

ところで、このメーデーという言葉から、例によって連想がとんでもない方に飛ぶ訳です。「メイデイ」は「助けてくれ」の意味ですね。伝統的に「メイデイ」と表記しますが、英文なら「MAYDAY」、メーデー(五月の日)と同じ綴りです。「助けてくれ」の代名詞は「SOS」ですが、特に航空機の場合はSOSでなくメイデイとなるのですね。
動力飛行機による人類初飛行は1903年のライト兄弟ですが、それ以降、1906年のサントス・デュモンのヨーロッパでの初飛行、1909年のルイ・ブレリオのドーバー海峡横断飛行達成、1913年のローラン・ギャロスによる地中海横断飛行達成と、航空機はヨーロッパ、特にフランスで成長を遂げます。
そんな関係からか、航空関係の用語にはフランス語起源の物が結構あるそうですが、「メイデイ」もその一つですね。言葉の意味は単純明快、「助けに来てくれ」という事です。フランス語で「Venez,m'aider」(ヴネ・メデ)は英語にすれば「Come,help me」です。この「ヘルプ・ミー」に当たる部分「メデ」が英語風に訛って「メイデイ」。そのまんまですね。

小学生の頃でしたかね、「600万ドルの男」というアメリカのテレビドラマを日本でもやってまして、主人公のスティーブさんは航空機事故で大怪我をして、サイボーグ手術を受けて情報機関で活躍するんですね。このドラマからのスピンオフドラマが「バイオニック・ジェミー」でしたが、「ジェミー」の方が知名度は高かった様な気がします。
で、「600万ドルの男」(サイボーグ手術の費用が600万ドルかかったんだそうです)のオープニングは、スティーブさんがサイボーグになるきっかけとなった事故のシーンで、スティーブさんは「メイデイ」を発信してます。それで「助けてくれ」はSOSだけではない事を知った訳ですが、フランス語を勉強し始めて、メデ=助けてくれ、あぁ、成程と納得したおっさんでありました。

パリとシャルル・ド・ゴール空港との間辺りに、ブルジェという小さな空港があります。一般旅客用よりも、プライベートジェットなんかがよく使う空港で、「ダヴィンチコード」で、ロバート一行がイギリスに脱出した時の空港ですが、ここには航空・宇宙博物館もありまして、面白いですから、フランス旅行を計画中の方で、航空機ファン、または航空機に関係するお仕事の方は、予定に入れてみては如何でしょう。

以前この航空博物館に行った時、戦闘機展みたいなのをやってた様で、いろんな戦闘機があったんですが、展示を見ていくうちに「おや?」と思ったのでした。「だがァァァ!わがドイツの科学力はァァァ!世界一ィィィ!」てな訳で(懐かしいな)、ジェットも、ロケットも実用化したのはドイツですけど、この戦闘機展にはメッサーシュミットが無い。コメートやシュバルベはおろか、プロペラ機さえ無い。どういうこと?実物がもう現存してないんでしょうか。模型で復刻する気もないんでしょうか。まぁ、フランス人としては、占領時代の記憶から、「ドイツ軍」に対して現在でも複雑な感情を持つ事は想像できますけど、それにしても…ねぇ。航空機の発展の歴史の大きな一ページだと思うんですけど…

どういう経緯でメッサーシュミトが無かったのかはよくわかりませんが。そういう国民感情に配慮して、という事ならまぁ分からなくも無いですが、おっさんの知る限りのフランス人気質から見ると、う~ん、なんとも言えないですねぇ。
単に入れたくなかったんじゃないか?とか、単に忘れたんじゃないか?とかいう考え方も完全には否定しきれない所がフランス人さん達の楽しい所でもありますねぇ。

「ククククッ、やっぱりフランス人て、おもしれぇー!」シャリシャリ。

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