さて、本日は街路樹のお話。
パリの街路樹で一番多いのはマロニエとプラタナスだそうです。で、ちょうど初夏のこの時期、プラタナスの葉がずいぶんと繁って来ましたから、ちょっとプラタナスについて書いてみようかという訳です。
プラタナス自体は日本でも割とよくある街路樹ですからね。良くご存知でしょう。
プラタナスというと何を思い浮かべますかね。
立教大学出身の方なら学内の並木道と「鈴懸の径」でしょうかね。
もうひとつ歌に出てきたといえばはしだのりひことシューベルツ「風」ですか。
松田晃「私の街」にも出て来ましたね。松田晃氏というとどうしても「あなたの心の片隅に」が思い浮かびますけど、ってPOPCON世代の人ならわかると思いますが。
最近の歌ならゴスペラーズですかね。「Atlas」。
おっさんとしては松田優作「探偵物語」の「脅迫者」の回(だったかな)、工藤ちゃんが落ち葉を拾い上げては放り上げて雪みたいに降らすシーンの落ち葉がプラタナスじゃなかったかな?と思うんですが。
東京行進曲(1929年)には「昔恋しい銀座の柳」という歌詞がありますね。銀座の並木は今でも柳ですが、昔の柳並木は段々にイチョウに変わって行ったんだそうです。そして関東大震災以降、プラタナスになった訳ですが、「昔恋しい銀座の柳」を懐かしんでこの歌詞を書いたのが西條八十ですね。この曲のおかげで「銀座に柳並木を!」という運動が起こり、「銀座の柳」復活となったんだとか。この歌が無かったら、今でも銀座はプラタナス並木になってたんでしょうかね。
プラタナスでそのまま日本で通じてますけど、日本語では「鈴懸」ですね。やっぱり、この名前は、こんな鈴を懸けた様な形の種から来てるんでしょうね。
で、この種(?)は段々にばらけて落ちて来て、パリの道路清掃係の人達を悩ませる事となる訳ですね。勿論落ち葉の季節もそうなんですが。
清掃係員さんが集めたプラタナスの種。
ところで、シャンソンというと大抵の方は「枯葉」とか思い出すんじゃないでしょうか。カラオケで「枯葉よぉ~」なんてやってた人がおっさんの知り合いにもいましたが。この曲は1945年、ローラン・プティのバレエ「ランデヴー」の為にジョゼフ・コズマによって書かれた曲ですね。詩を書いたのはジャック・プレヴェール、マルセル・カルネ監督の映画「夜の門」の挿入歌として使われてます。映画の中でこの曲を歌ったのが若き日のイヴ・モンタンでしたが、映画も曲もその当時はヒットには結びつかなかったそうですね。
後にジュリエット・グレコが歌う様になってから認められ始め、すっかりスタンダード・ナンバーになりました。いろんな人が歌ったり、演奏したりしてますね。グレコをはじめエディット・ピアフ、アズナブール、エリック・クラプトン、マイルス・デイビス、ナット・キング・コール、スタン・ゲッツ、椎名林檎さんもですね。
で、このシャンソン「枯葉」には「枯葉はシャベルで集められ…」(Les feuilles mortes se ramassent a la pelle)という歌詞があります。パリの街に沢山落ちていて、シャベルで集められる枯葉、と言うとやっぱりこれはプラタナスの葉だったんじゃないかと勝手に想像する訳です。歌詞の中では何の木かは言ってないんですね。
因みに言うと、日本では「枯葉」ですね。英語版では「Autumn Leaves」、秋の葉となってますね。フランス語、つまり原語では「Les Feuilles mortes」死んだ葉という意味ですねぇ。死んだ葉ねぇ。まぁ「枯れる」という事は植物にとって「死ぬ」事ではありますが…
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