古いなぁ。知ってます?この曲。文化祭バンドでやりましたよ。それも何故かキーボードで。
先日「鉄砲玉の美学」の事を書いたら、なんとなくATGについて書きたくなりまして。ATG(アート・シアター・ギルド)というのも面白い会社でしたね。最初は外国映画の配給。それも、商業的にはそれほどでもないが、芸術性の高い映画を配給してましたね。ATGでフェリーニやワイダ、ゴダールに出会ったという人も多いんじゃないでしょうか。
1960年代後半にはテレビがかなり普及して来ます。1959年の皇太子明仁親王(当時)と美智子皇太子妃殿下(当時)の結婚パレードを機にテレビの普及が進んだのだとか。序でに言うと、翌60年の浩宮徳仁親王(当時)の誕生で、この前後の生まれの人は「浩」の字を使った名前の人が多いそうですね。その好例が身内にいますし。
それはさておき、テレビが普及すれば映画業界が厳しくなって来るのは当然の理。芸術映画よりも、観客動員が期待できる娯楽作品にウェイトがかかって来ます。それでも芸術映画を作りたい監督は、独立プロを作って製作する訳ですが、ATGは芸術映画を目指すこういう監督達を支援します。大島渚なんかこの頃ATGで製作してますね。他にも寺山修二、実相寺昭雄、吉田 喜重、唐十郎、市川崑…
それでもやはり映画が売れないと会社が立ち行かなくなる訳で、80年代以降は若手監督を起用した娯楽映画が増えて行くのですね。
この頃のATG映画は東陽一「サード」「もう頬杖はつかない」、大森一樹「ヒポクラテスたち」、鈴木清順「ツィゴイネルワイゼン」、岡本喜八「近頃なぜかチャールストン」、森田芳光「家族ゲーム」、そして新藤兼人「墨東綺譚」、いやぁ、いろんな人が撮ってますねぇ。
で、ATGの事を書いてたら、やっぱり「にっかつロマンポルノ」が浮かんで来た訳ですよ、これが。にっかつロマンポルノというのも、コンセプトそのものが面白いですね。
おっさんにとってはやっぱり日活といえば「太陽族」、なんですが。(中学生の頃の、「高校大パニック」も非常に印象に残ってますが。数学できんのが何で悪いとよ!)裕次郎デビューのきっかけも面白いですよね。スタッフとして参加してたのに役者が足りないからと駆り出され、そして国民的スターへ。他にも小林旭、長門裕之 、南田洋子 、岡田眞澄、 津川雅彦 …でもやはり60年代後半から苦しくなって行きます。
そして、日活改め「にっかつ」のロマンポルノ路線が始まる訳ですね。しかし、このにっかつロマンポルノが、今の若い女の子に結構人気があるというのも分かる様な気がします。ポルノと言ったって大したエロさじゃないですから、せいぜいちょっとエッチっぽい、という程度で、女の子でも抵抗無く見られるんでしょう。「エロかわ」程度のモンですもんね。イマドキの一般映画のちょっと過激なエロシーンの方がよっぽどすごいんじゃないでしょうか。
低予算で観客動員が見込める映画というのは後期のATGと同じコンセプトですが、このロマンポルノというのは製作の自由度が途轍もなく高い所に特徴がありました。なんせ、裸さえ出て来ればあとは何でもアリ、「団地妻」シリーズから、「大奥」シリーズをはじめとする時代物、学園もの、修道院もの、刑事もの、ソープ(当時はそう呼んでませんでしたが)もの。団鬼六先生と宇能鴻一郎先生はもう別格でしょうけれど。名作「花と蛇」はいまだにリメイクされてますしね。
とにかく10分だか15分だかごとに裸、エロシーンがあれば、あとは制作費さえあまりかけなければ、監督の自由裁量がかなり通った様ですね。そして、ロマンポルノ出身、またはロマンポルノを撮っていた中には「青春の蹉跌」の神代 辰巳、「あぶない刑事」「刑事貴族」の長谷部安春、「ミナミの帝王」の西村 昭五郎、「ダイアモンドは傷つかない」「スローなブギにしてくれ」の藤田敏八なんて人達がいた訳ですもんね。
ところで。ここまで書いておいて何ですが、おっさんはこのロマンポルノって、ちゃんと見た事は一度もありません。有名な作品は当然知ってますが。
いや、別におっさんは聖人君子じゃありません。きっちり俗物です。なんせ脳内メーカーをやったら頭の中の半分カネで半分オンナだったという筋金入りの俗物です。「あれは見るもんじゃない、やるもんだ」とはエーベルバッハ少佐の台詞ですが(「エロイカ」を知らない方、ごめんなさい)。基本ケチであるおっさんは、エロ映画になんかカネは使いません。女の子を口説くのにカネを使うのならともかく。って、そういう事も結婚してからはしてませんからね。念の為。
マズイ方向へは深入りしない事にして、と。フランス映画に目を転じると、(かなり強引な方向転換に見えるんですが。)う~ん、やっぱり「過去の栄光」的な感じは否めませんねぇ。フランスでも、やっぱり流行るのはハリウッド映画だったりする訳です。最近フランス映画で成功したのって…せいぜい「アメリー」位しか思い浮かばないんですけど、他にありましたっけ?フランス人はアメリカ文化が嫌いで云々とよく言われますけど、そうでもないですよ。
ゴダールやトリュフォーからもう50年です。大学生の頃、「勝手にしやがれ」がアメリカでリメイクされる(「ブレスレス」リチャード・ギアです)から、ベルモンド版がもう見られなくなるかも知れないというんで授業サボって見に行きました。「アメリカン・ジゴロ」のセックスシンボル・リチャード・ギアも今や「約束の犬」の教授役ですもんね。
フランス人と日本映画の事を話すと、大抵出て来るのは小津・溝口・成瀬です。まぁ世界のクロサワは別格としても。たけしとか。今の日本の若い方の中には、「オヅ?ナルセ??ミゾグチ???」という方も多いですから、まぁ、似たようなモンか。
ところで、ロマンポルノの復活に続いて、「ATGリターンズ」とは行きませんかね。
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