いやぁ、なんて古いんだ。
「煙草屋の娘」昭和12年の歌ですねぇ。かわいい看板娘目当てに煙草を買いに行く男。看板娘からは「どんだけヘビースモーカーなのよ」みたいな目で見られながらも(でも本人はそんな風に思われているとは気づいていない)通いつめる。そのうち給料日前の金欠で男が煙草を買いに行かなくなると今度は娘の方が気にしだして、病気でもしてるんじゃないかと心配して…微笑ましい歌ですねぇ。
いや、看板娘という言葉自体が結構死語に近いんじゃないかとも思いますけどね。
それはさておき。今日は看板の話。
パリの西端、ポルト・マイヨーにあるコンコルド・ラファイエットホテルでこんなものを見かけたんで、看板の話になった訳ですよ。
最初は何かと思いました。コンコルド・ラファイエットホテルのティーサロンのドアのイラストは、フランス革命時代の軍人さんが“捧げ銃”をしている所をデザインしたものですね。フランス革命初期の指導者、アメリカ独立戦争に義勇軍として参加した将軍の名を冠したホテルに相応しいですが…
最初、これが軍人さんの姿だという事がわからなくて、一瞬、河童が焼き鳥屋のカウンターでネギマをつまみに一杯やってるのかと思いました。
他にも、何をデザインしたのかよくわからない看板の話でよく出て来るのがこれです。
これはCaisse d'Epargne、貯蓄銀行(とでも訳すんでしょうか?)の看板ですが、何に見えます?どう見ても毛ガニなんですが…実はこれ、リスを図案化した物です。左の毛ガニの鋏の部分が大きな尻尾、右上の毛ガニの目の所がリスの顔、その下の二本の線が手足を表わしています。昔ははっきりリスと判るデザインだったんですがね。いろいろ図案化してるうちによくわからなくなってきました。
さて、こちらは「看板娘」ならぬ「看板牛」さんです。
モントルグイユ通りの乳製品屋さんの庇の上から、牛さんが見下ろしてます。まぁ、この牛さんが牝牛なら「看板娘」と言えなくもないか…でも「乳製品」屋さんの看板になる位だから「娘」じゃなくて「大人の女」か「人妻」だろうか。てか何で素直に「母」と言えないかね。
この牛さんは結構農家の雰囲気を醸し出してて、まぁのどかな気分になっていいんじゃないかと思いますけど、こっちは見様によっては結構グロくありませんか?
以前朝市を見て歩いてたら、エスカルゴ産地(という事はブルゴーニュ地方ですね)の産直農家さんのスタンドで、ケースの中で生きたカタツムリが這い回ってまして。その横にエスカルゴをニンニクバター詰めにして、あとはオーブンに入れるだけ!みたいなパックが売られてて、まぁ、分かり易いってば分かり易いですけど、なんだかなぁ、と思った事があります。
で、看板の方に戻りますが、これまたモントルグイユ通り、エスカルゴの老舗で知られる「エスカルゴ・モントルグイユ」さんです。まぁ…わかるんですけどねぇ…
ここは店内の装飾もカタツムリだらけです。椅子の背凭れや肘掛の彫刻とか。
パリに住み、パリを愛し、パリを描き続けた荻須高徳画伯が「金のかたつむり」なんていう作品を残してますね。
味の方は流石専門店。エスカルゴそのものも見事ですが、普通エスカルゴといえばニンニク・パセリ・バターが相場ですけど、ここはカレー風味とかロックフォールチーズ風味とか、他ではちょっとお目にかかれないものが楽しめます。
そういえば映画「プリティー・ウーマン」で、掴み損ねたエスカルゴが飛んで行ってしまい、ナイスキャッチ!したボーイさんがチョッキのポケットにエスカルゴを隠す、なんていうギャグがありましたねぇ。
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