かなり前の話になりますが、おっさんの知り合いのフランス人さんが日本に行きまして。帰って来たら、何か機嫌が悪い。何かあったのかと聞いた所、「最高級のホテルに泊まったのに、何でフランス語ができる係員が一人も居ないんだ?」との事。まぁ、そのフランス人さんが英語が苦手な事と、帝国ホテルに泊まった事は知ってましたけどね。
日本のどこのホテルに行ったって、フランス語係員が常駐してる所を探すのは難しいんじゃないでしょうかね。それは例えば、パリのどんな高級ホテルに行ったって、日本語係員はなかなか居るもんじゃないのと同じじゃないですか。
そう答えたら、件のフランス人さん曰く、「でもフランス語は国際語じゃないか!」
ふぅん…そう思ってるのはフランス人だけだと思いますよ。やっぱり国際語は英語な訳でしてねぇ。17~18世紀なら、貴族の必須の教養のひとつがフランス語でしたし、だからオーストリアからフランスにお嫁に来たマリー・アントワネットも言葉の苦労は無かった訳ですけど。21世紀までそれを引き摺ってるこのフランス人さんの意識もちょっとねぇ。
勿論、日本でしか通じない日本語よりはフランス語圏は広いですけどね。カナダ、スイス、ベルギー、そしてアフリカの旧植民地諸国。
でもそういう所のフランス語ってフランスのフランス語とはちょっと違ったりしますし。
石原慎太郎都知事が好んで引き合いに出す「フランス語で97ってなんて言うか知ってる?」というのがありますけど(例に挙げる数字は別に97じゃなくたって良いんですが)
「フランス語で97はquatre-vingt-dix-sept キャトル・ヴァン・ディス・セット、20が4個と10と7って言うんだ、いちいち計算しなきゃいけない数字の数え方なんて、論理的じゃないよね」というのが石原さんのお考えの様です。まぁ、これは昔の20進法の名残りな訳ですけど。だったら何で12進法を採用してる時計とか(なんで一日は24時間なのか?)、2進法を採用してるコンピューターとか(春川教授の分身「電人HAL」は「1と0の世界では無敵」だった訳ですよね)には文句言わないの?
別にフランス人はいちいち計算しなが数を数えてる訳じゃありません。「キャトルヴァンディスセット」というひとつの音の塊が97を意味する、それだけの話です。
ベルギーやスイスのフランス語には、70、80、90を表す単語がありますよ。
10=Dix(ディス)20=Vingt(ヴァン)30=trente(トロント)40=Quarante(キャラント)50=Cinquante(サンカント)60=Soixante(ソワサント)まではフランスの言葉と同じですが、フランス 70=Soixante-Dix(ソワサント・ディス=60と10)に対してスイス・ベルギー septante(セッタント) 80=Quatre-vingt(キャトルヴァン=20が4個)に対してHuitante(ユイッタント) 90=Qutre-vingt-dix(キャトルヴァンディス=20が4個と10)に対して Nonante(ノナント)となりますね。
また脱線しましたが。
国際語とは言っても、移民先や近隣の国の一部、旧植民地で通じるというだけの話です。以前聞いたジョークで、商社に就職する時、「フランス語ができます」と言うと、研修はパリだけれど、いざ仕事を始める時にはアフリカに配属されるとか、「スペイン語ができます」と言うと、研修はマドリッドだけれど配属先は南米、なんてのがありましたが。
それもまたさて置き。で、フランス革命以前ならいざ知らず、現代の国際語はやっぱり英語なんですよね。
それでも最近、フランス人さん達もやっとその事には気づき始めた様です。確かに嘗ては「国際語とはフランス語の事」と言う気持ちも強かったのでしょうが、今は英会話学校が結構流行ってるんだそうで。メトロの中吊り広告なんかにもよく出てますが、その筆頭「ウォールストリート」は、「話せる様にならなかったら返金」と言うシステムをとってるそうです。でもどうやって「話せる様にならなかった」返金対象と認定するのでしょうか?「97%の人は成功する」そうですが?
フランス人気質からすると、ちゃんと勉強して英語ができる様になっておきながら、試験とか面接の時にはわざとしどろもどろに話して、「話せるようにならなかったから金を返せ」とかやりそうな気がするんですけど。
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