2011年6月9日木曜日

え?

先日仕事関係でお会いした日本の方。数日間パリ滞在と言う事で、滞在中の話とか、パリでの見所とか、いろいろお話してたら、「ところで、パリで絵を買いたいんですけど」との事。
え?この人そんな金持ちだったの?普通のOLさんに見えるんだけど…実は財閥の令嬢とか?

で、まぁ別に情報を出し惜しみする事も無いんで。いろいろありますよ。
パリの画廊街と言えばまずはマティニヨン通り。日本で言えば「画廊なら銀座」という感じの、昔からの高級画廊街です。
サンジェルマン・デ・プレの近く、セーヌ通りにも沢山ありますね。こちらは古いものから、結構新しめのものまで、店によって割と幅があります。
もうひとつはポンピドーセンターの近く、ボーブール。こちらはインスタレーションとか、現代のものが多いですね。

それから、オペラ座の裏手、リシュリュー・ドルオー駅の近くにはオークションハウス「オテル・ドルオー」があります。いくつもの部屋があって、いつもどこかの部屋で何かしらのオークションをやってます。絵画に限らず、彫刻、家具、骨董、本、宝石、絨毯、ありとあらゆる物のオークションがありますね。もともとオークションってのは相続の際に、受け継いだものを売る場として発達した訳ですし、公開入札のメリットは、需要・供給がはっきりしてますから価格が単純明快に、そして公正に決定される事ですね。

1874年、第一回印象派展は話題にはなりましたが、商業的には惨敗。話題になったとは言え、評判が良かった訳ではありません。「印象」という、おかしな主張を持った変な奴らが集まって、訳の解らない展覧会をやっている…と言う事で有名になっただけです。印象派の画家達は、展覧会でほとんど売れなかった作品をオテル・ドルオーのオークションで売ろうともしてますが、やっぱり全然売れなかったのでした。そんな中、印象派を支えたヴォラールやデュラン・リュエルなんていう画商さん達はよっぽどの目利きだったんでしょうね。

パリに限らずオークションハウスはフランス中にあります。かなり田舎の町に行っても結構町ごとにオークションハウスがあったりして。フランス語で「Hotel des Ventes」。
日本ではオークションと言えばネットオークションを連想する方が多いのではないでしょうかね。フランスにも勿論ありますが、昔ながらの競りによる美術品売買等もまだ盛んに行われています。田舎町のオークションハウスに行くと面白い光景が見られます。日曜日の午後なんか、ジョギングや犬の散歩の途中に立ち寄った様な風情のオジサンが絵画や彫刻の小品を競り落とし、その場で小切手を書いて作品を持って帰ったりします。

まぁそれはさておき。こんな話をし始めたところ、その方がおっしゃるには、「いえ、そういうのじゃなくて、ポスターを買って、額縁に入れて飾りたいんですけど…」
え?絵じゃなくて?な~んだ、それなら最初から「ポスターを買いたい」と言ってくださいよ。

それならポンピドーセンター近辺ですね。メトロのシャトレー・レアール駅からポンピドーセンターに行く途中にはそういうポスター屋さんが一杯ありますよ。ポンピドーセンターの中にもポスターのコーナーがあります。
この方とはまた別の、日本から見えた方が、やはりこういうポスター屋さんに行き、ポスターを大量にお求めになりました。
何でも知り合いのレストランの開店祝いに、店内に飾るポスターをプレゼントするから…と言う事で、大きいの小さいの、印刷物から本格版画刷りのものまで取り混ぜて、ざっと50枚位。総額二十万円弱位でしたかね。

ところが、この手のポスター、印刷物でも日本では一枚四~五万円するとか。
え?じゃああの方、二百万円相当以上の「ブツ」を持って帰った事に…

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