2011年6月19日日曜日

街角のドラクロワ。

さて、本日は教会のお話。

それも、例によってヒネクレたおっさんの事ですから、有名な観光地になっている教会は後回し。町の教会こそがこんなに凄いという見本みたいな所が好きなんですねぇ。

サン・ドニ・デュ・サン・サクレマン教会。マレ地区からも、バスティーユからもそう遠くない、というかその間にある教会です。外見はどうって事無い町の教会。


てかむしろ凄くシンプルな教会ですよね。で、何が凄いかというと、ここでまたペール・スターク登場。


この教会は1826年から1835年にかけて、ノートル・ダム・ド・ボン・ヌーベル教会、ペール・ラシェーズ墓地の礼拝堂、サン・シュルピス教会の神学校等を手がけた非常に精力的な建築家ゴッドによって建てられた。非常にシンプルな正面は、中央の列柱は四本のイオニア様式の柱を備え、柱の上は三角形の破風は彫刻家フシェールの手になる信仰、希望、慈愛の寓意像で飾られている。扉の両側の壁龕にはサン・ピエールとサン・ポールの彫刻がある。内陣はピュジョルによるグリザイユで飾られ、またドラクロワが素晴らしい「キリスト降架図」を描いた。ドブレーヌ・カイネによるオルガンは1839年のもの。このオルガンはまず1866年カヴァイエ・コルにより、更に1969年にも修復されている。

町の普通の教会にドラクロワの壁画ってのも凄い事ですねぇ。ドブレーヌ・カイネもカヴァイエ・コルも一流のオルガン職人ですしね。

この教会に入ると、まず正面の祭壇に惹き付けられます。これだけだって十分凄い。


入って左の側面に沿って一回りしましょう。そして奥の祭壇の裏をまわって、そのまま真っ直ぐ。ドラクロワの作品に突き当たります。でも暗くてよく見えないなぁ…等と思ってると、右手にスイッチがあって、これを押すとしばらくの間照明が点きます。消えるまでゆっくりと眺めて…でも、こんな物が普通に無料で見られるなんてのも凄いですね。しかも番人一人立ってる訳でもない。そういえばフィレンツェでマサッチオを見に行った時もこんなだったかな…


こういう所も、町の普通の教会を覗いて歩く時の楽しみの一つですね。まぁ、ランスの大聖堂やマインツの聖シュテファン教会のシャガールのステンドグラスとかもありますけど、そういう所はそれこそ大手旅行会社のグループツアーなんかにも入ってます。それだけ有名な観光地な訳ですよね。パリで言うならノートルダムとか、サクレ・クールとかの様なもんでしょう。何ていう事も無い町の教会にこんな物がある所が凄い。

亀居山大乗寺の円山応挙とか、知恩院の所蔵品や新薬師寺の十二神将にしたって、こんなに気軽に手軽に無造作に見られる様に置いてはありませんもんね。

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