パリの街を歩いていると、嫌でもセーヌ川を何度か目にする訳ですが。
「ミラボー橋の下をセーヌ川が流れ…」と詠ったのはアポリネールですね。シャンソンにもなって、日本でもお馴染みです。
日本では堀口大學訳が有名ですね。この詩を含む詩集「アルコール」は句読点を一切含まない独特の文体で書かれています。マリー・ローランサンとの恋に破れて書いたと言われるこの詩ばかりが有名なアポリネールですが、ロマンティストかと思いきや、サド侯爵の著作の再評価に尽力したり、「若きドン・ジュアンの冒険」や「一万一千本の鞭」を著した怪し気な人でもあったのですねぇ。その方面がお好きな方は、日本語訳もちゃんと出てますから、探してみては如何でしょう?
で、やっぱり怪しげな方へ話が行っちゃう訳ですか?う~ん、ここはちょっと方向転換しましょうよ。セーヌ川の畔を散歩してみるとか。これから気候も良くなりますし。
で、セーヌ川岸を歩いてるとこんな物を見かけます。セーヌ川岸名物の一つ、「ブキニスト」です。
パリの歴史を記した「ペール・スターク」によれば、フラマン語の「Boeckjin」を語源とするフランス語の「Boucquain」という言葉は15-16世紀頃に使われ始めた様ですね。ルイ14世時代、辞書を編纂していた学者さん達の遅々として進まない仕事振りにイラついたアントワーヌ・フュルティエールさんは、以前から自分で編纂を始めていた辞書を独自に発行して、学者さん達や、彼らを保護する王様との間にひと騒動起こす訳ですが、そのフュルティエールの辞書の中にも「名も無い傷んだ古い本」という意味でこの「ブッキャン」が登場するそうです。
「ブキニスト」(露天の古本屋)の方はと言えば、1752年頃からセーヌ川岸に(特に左岸側から)出店した店舗の事で、1822年からは法令によって管理される様になりました。(って事はそれ以前は野放しだったんですか?)
19世紀のオスマン男爵のパリ大改造の際にかなり減少してしまった「ブキニスト」はその頃から保護されるようになり、作家のピエール・マック・オルランさんはブキニストの事を「想像の旅への招待状」と言っているそうですね。(すみません、おっさんの勝手な意訳です。公式に何と訳されてるかは存じません。)
現在のブキニストは古本に限らず、絵葉書、ポスター、絵画、色々お土産になりそうな物も売ってたりしますから、天気が良ければ散歩がてら覗くのもいいですね。
で、セーヌ川沿いを散歩していてもう一つよく見かけるのが南京錠ですね。恋人達や新婚さんが二人の名前を書いた(中にはちゃんと二人の名前と結婚の日付が彫り込んであるのもあります)南京錠をこんな感じで金網にカチャリ。
キーの方はと言えばセーヌ川に投げちゃいます。さぁ、もう離れられませんねぇ。
まぁ、この「ずっと一緒だよ」という鍵のメッセージはパリに限らずあちこちにありますから、ご存知の方も多いでしょう。イタリアでしたっけ、鍵で一杯でクリスマスツリーみたいになった柱がありましたね。
さて、パリの聖母の前(後ろ?)で愛を誓った皆様、ブログ画像に使わせて頂きました。お幸せに。
0 件のコメント:
コメントを投稿