2011年4月7日木曜日

ぷりーず しょう みー ざ うえぃ とぅ えっふぇる・たわー

もう結構前の話になりますが、何回か連続でドイツのシュトゥットガルトに出張しまして。まぁ、毎回スケジュールがタイト過ぎて、ドイツまで行った序でに観光、なんていう時間はとれなかったので、残念ながらベンツ博物館もポルシェ博物館も見られませんでしたけどね。
で、在シュトゥットガルトの日本の方とお話してたら、スタバのマグカップの話になりまして。そういえばろくにお茶する時間も無かったけど、シュトゥットガルトのスタバのマグカップの図柄は何だろう?やっぱりベンツマークやポルシェマークかな?なんて言ってたんですが、さにあらず、シュトゥットガルトご当地スタバマグカップは馬の図柄でした。シュトゥットガルトの名前の由来は「馬の調教をする所」だそうで、シュトゥーテン(馬の調教をする)ガルテン(英語ならガーデンですね。庭というか、公園というか、広い場所の事)が訛ってシュトゥットガルトになったんだそうです。そんな訳で、マグカップは馬の図柄。

フランスについて言えば、フランス・バージョンのモン・サン・ミッシェルと、パリ・バージョンのエッフェル塔のがあります。タンブラーも同様。エスプレッソ用のデミタスカップもあって、エッフェル塔のとモン・サン・ミッシェルのが一個ずつ、二個セットで売ってます。
デミタスカップというのも不思議な言い回しですね。フランス語で「ドゥミ(Demi)」が半分、「タス(Tasse)」がカップで、ドゥミ・タス=半分の分量のカップ。これが英語風に訛ってデミタスです。そこにまた「カップ」をつけて、「半カップのカップ」。「古の 昔の武士の侍が 馬から落ちて落馬して…」などと古い事は申しません。
ところで最近、やはりスタバの影響なのか、日本でもカフェ・ラッテという言い方が一般的になって来ましたね。まぁ、日本語風に訛ってカフェ・ラテとか、イントネーションも変わって、元は「カフェ」で上がって「ラッテ」で下がりますが、あの、日本独特の平板口調というか、平らなイントネーションで、「クラブー」とか「サーファー」とか「ミュールー」とか言うのと同じで、「カフェラテー」という感じに発音する方が多いですね。

パリに見える日本の方から、「カフェラテで通じますか?」「ラテで通じますか?」なんて聞かれる事も多いですね。まぁ通じないでしょうね。「カフェ・ラッテ」(上がって下がるイントネーションで)ならばまだ通じるかと。イタリア語のわかるボーイさんならば、ね。そう、カフェ・ラッテはイタリア語なのですね。カフェは分かるとして、ラッテはミルクですから、例えば「ラッテ」とだけ注文して通じたとして、牛乳が出て来る可能性も大です。

イタリア語でカフェ・ラッテ。スペイン語ではカフェ・コン・レチェですね。じゃあ、フランス語では?と聞くと、意外や、「知らない」と答える方が多いです。いやぁ、絶対に御存知の言葉だと思いますよ~?と押してみても「いや、分からない」と。いや、間違いなく知ってる言葉ですって。フランス語でカフェ・オ・レです。カフェはどこの国の言葉でも似たような発音ですね。「レ」はフランス語でミルク。なので、テ・オ・レと言えばミルクティー。お茶の事も英語でティー、フランス語でテ、日本語や中国語でチャ(茶)、アラブ圏ならチャイ、どこでも似た様な言葉です。(開高健さんが、自分が知ってる中ではポーランド語だけは違ったと書いてましたが。ポーランドでは何て言うのかは忘れちゃいましたけど。)他にも、フランスでよく出て来るデザート、リ・オ・レ。「リ」とは米ですね。固まりきってない、ミルクたっぷりのプリンの様な物の中にゴハンが入ってる奴です。

元々のカフェ・オ・レは、お湯で湿らせた(蒸した?)コーヒーの粉に、温めた牛乳を注いで点てたんだとか。ロイヤル・ミルクティーと同じですね。現在では勿論そこまではしませんが。フランスでカフェ・オ・レとかカフェ・クレームとか言う物は、大抵コーヒーに温めたミルクを加えますね。温めてさえいないミルクが出て来る店もありますが。
さて、フランス語でカフェ・オ・レ。じゃあ英語では?と聞くと、これまた、知らないと言う方が多いです。う~ん、これまたストレート過ぎて、かえって思いつかないんでしょうかね。英語ではコーヒー・ウィズ・ミルクです。そのまんまじゃないですか。
そう聞いて、「ベタですね」と切り返して来た方がいましたが。そうなんです。ベタなんです。ベタ過ぎてかえって思いつかないというのはよくある話で、日本は真面目な方が多いですから、「何て言えば良いんだろう」と突き詰めて考えすぎるのですね。

フランスに旅行して、日本に帰る飛行機が夕方の便の場合、ホテルの部屋は大抵11時か12時にはチェックアウトしなきゃいけませんから、部屋を引き払ったあと、夕方まで荷物をホテルに預ける事になります。「荷物を預ける時は何て言えばいいんですか?」ともよく聞かれますね。これもまたベタ過ぎて思いつかないというのの典型じゃないでしょうか。そう聞かれた時は、つとめてカタカナ口調で、「ぷりーず きーぷ まい ばげーじ。あい かむばっく あっと すりー・さーてぃー。」で通じますよ、と答えるんですが。大抵の方は「え?そんなので良いんですか?」と聞き返して来ます。そんなんで良いんです。真面目に考えすぎる必要は無いのですね。通じりゃ良いんですから。「お前、帰国子女なのに何でこんなに英語の点数悪いの?」「うるせーな、日本の英語が細かすぎるんだよ、もっとテキトーってか、通じりゃいいんだよ」などと言う会話を思い出してしまいますが。このネタが分かった方は少年ジャンプ読者でしょう、きっと。因みにおっさんの娘・息子も帰国子女です。(フランス生まれ、育ちなのに日本に「帰国」ってのも不思議ですが)おっさんの娘が日本の仏検の問題集をフランス人に見せてみたら、「ビクトル・ユーゴーだってこんな言い回しはしない」と言われたとか。そういう事なんですよね。

日本の外国語教育って、まだまだ文法に偏りすぎてて、実際に使う事、話す事を前提にしてないと言う気がします。だから何かを言おうとしても真面目に文法から考えすぎて言葉が口に出て来ないんですよね。どうでしょう、日本で英語の先生をなさってる方、例えば授業の中で、「はい、今あなたは海外旅行中です。ホテルに着きました、チェックインしてください」「チェックインが済みました。早速観光に出るので、ホテルのフロントで行きたい名所への行き方を聞いてください」「お昼になりました。レストランでこの町の名物料理は何かを聞いて、それを注文してください」とかやってみたら如何でしょう。教科書の代わりに海外旅行ガイドブックを使って。ダメでしょうかね、そういうの。

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