2011年4月14日木曜日

昔々のお話。

結構前の事になりますが、ワインの産地として有名な、ある地方の小さな村に行った時の事。ひょんな事から村の古老と知り合い、色々と話を聞いたのでした。
昼食と夕食の間の中途半端な時間帯で、誰もいない村の居酒屋の片隅のテーブルで、老人は、時々ワインで喉を湿らせながら話し始めます。

「今は機械化だの近代化だの、石油と電気がなければ成り立たないがな、昔は皆、自分で鍬や鋤を持って畑を拓き、葡萄を植えたもんじゃよ。そりゃ、大変な重労働ではあったが、この汗の一粒々々がやがて葡萄の一粒々々になると思えばやり甲斐もあった。
収穫期には村人が総出で葡萄を摘んだ。そして幾つもの籠に一杯になった葡萄から果汁を取るのも、昔は桶に入れた葡萄を、足で踏んで搾ったのさ。この葡萄搾りは若い娘たちの仕事じゃった。そりゃそうじゃ、いかつい男達のごつい足で踏んだら、あの繊細なワインの味は出せやせん、これはどうしても、羽根の様に軽やかな娘達の、柔らかな足で優しく踏まんければならん。ほれ、そこにいるこの居酒屋の女将だって、今じゃ樽みたいな体つきをしとるが、若い頃は細っこい、結構可愛い娘じゃったよ、ハハハ。」

「さあ、いつ頃の事なのか…何百年前?昔はワインと言えば白しか無かったのじゃよ。その頃もやっぱり、いや、わしらの若い頃以上に素朴な農具しか無かったのだから、ワイン作りは当然、総ての工程を人力でやっておった。
そしてある時、収穫した葡萄を踏んで搾る娘の一人が、村の若者に恋をした。かなりいい男だったらしく、ライバルも多かったのかな、結構積極的な娘は、旅の商人に、今度町に行ったら勝負下着を買って来てくれと頼んだ。葡萄の収穫期を迎える頃、旅の商人が再び村にやって来ると、心待ちにしていた娘は、早速注文の品を受け取った。ピンクの、小さなバタフライじゃった。田舎の小さな村の事じゃ、普通はありきたりの白い下着しか手に入らなかったんだがな、娘はこの勝負下着を穿くと気分が高揚したからか、大層美しく見えたという。」

「そして、娘は早速アタックを開始した。ある日、若者が畑に出る前に駆け寄って、(今夜、村はずれの菩提樹の木の下で)と囁いた。若者も、今日はいつもと様子が違う娘に惹かれたんだろう、OKしたそうじゃ。仕事が終わってすぐに若者に逢いに行って告白する予定じゃったから、娘は当然、朝から勝負下着のまま仕事に行った。いつもの様に娘が葡萄を踏むと、なんと!その娘が踏んだ葡萄桶から取れた果汁はピンク色をしているではないか!バタフライのピンク色と、娘の桃の実の様なお尻の色が映えて、ピンクの果汁ができたのじゃ。この果汁から作ったワインもまたピンク色をしておった。世界初の、ロゼワインの誕生の瞬間じゃった。」

「目出度く思いを遂げた娘は、それからも毎日、若者との逢瀬を続けた。ロゼワインはこの村の名物になって行った。そして一年が過ぎ、再び葡萄の収穫期を迎えた頃の事じゃ。ある日、いつもの様に若者と愛し合った娘は、この日に限って、どういう訳か眠り込んでしまった。若者の方も同じく眠り込んでいた。ふと目を覚ますと朝日が昇りかけている。もう、皆が仕事場に集まり始める時間じゃ。慌てて支度をした二人は、若者は畑へ、娘は葡萄搾り場へと大急ぎで駆け付けた。いつもの様に娘が葡萄を踏むと、なんと!その娘が踏んだ葡萄桶から取れた果汁は真っ赤ではないか!大急ぎで支度をして来た娘は、何とパンツを穿き忘れておったので、ノーパンのスカートの中身を見て、果汁が照れて真っ赤になってしまったのじゃ。この果汁から作ったワインもまた真っ赤じゃった。世界初の、赤ワインの誕生の瞬間じゃった。」

「赤ワインもまた、この村の名物になって行った。今でも、この地方でワイン産業に従事する女達は皆ノーパンじゃよ。ん?あんた、半信半疑ってな顔をしとるな。嘘だと思うなら確かめてみたらどうじゃな?もうそろそろ娘達の仕事も終わる頃じゃ、ナンパでもしてみるか?まぁ、ノーパンかどうか確かめられるかは、あんたの腕次第じゃがな、ハッハッハッ」

と、老人はさも愉快そうに大笑いしたのであった。

昔読んだオリジナルの話に、結構脚色を加えてはいますがね。この話、何で読んだのだかもう覚えていませんけど、ワインで有名などこかの地方に本当にこういうジョーク(と言うか猥談?)が伝わっているのか、誰かの創作なのか存じませんが、いかにもフランス人の好きそうなお話ではありますね。はっはっはっ。

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