2011年4月29日金曜日

ミッシェルさんも応援してくれてます。

さて、昨日は大天使ミカエル像がパリのサン・ミッシェル・ド・バティニョル教会に復活した所まで行ったんでしたね。今日はその続きです。

ミカエルはカトリックでは天使長とされていますね。バンコランとマライヒの間に産まれたフィガロ坊やですが。「パタリロ!」を御存じない方、ごめんなさい。で、それとは別に、偽ディオニュシオスの天使学の分類に拠れば、天使には九階級有り、上級三隊が熾天使(セラフィム)、智天使(ケルビム)、座天使(スローンズ)、中級の三隊が主天使(ドミニオンズ)、力天使(ヴァーチュズ)、能天使(パワーズ)、下級三隊が権天使(プリンシパリティーズ)、大天使(アークエンジェルス)、天使(エンジェルス)となってますね。大天使って下から二番目?あれ?結構階級低い?でもこの大天使ミカエルは、大事な役目を担っているのですね。
写真はパリのサン・ミッシェル広場のミカエル像。鎧を着て、悪魔を打ち倒しています。ミカエルさんは天の軍団の司令官です。御本人も軍人さんですし、軍人さん達の守護天使です。ミルトンの「失楽園」は、どちらかというとルシファーを結構美化してるきらいがありますが、かつて神に一番近い地位にいた最高位の天使ルシファー(「光を帯びた者」という意味です)がいかに神と敵対する様になったかは、この名作を読んで頂きましょうか。で、このルシファー率いる悪魔の軍団(などと言うと「ショッカーですか?」とか言いたくなるのはおっさんがそういう世代だからです)の前に立ちはだかるのがミカエル率いる天の軍団ですね。そして彼はルシファーに向かって「ミ・カ・エル」と叫んだと伝えられますね。我こそ神の如き者、または神に似た者は誰か、という意味になるそうですが、これがこの天使の名前の由来でもある訳ですね。再び写真はモンマルトルの丘、サクレ・クール寺院の屋根の上のミカエルさん。
このミカエルさんにはもう一つ大切な役割がありまして、この方は最後の審判の審判官です。どのように最後の審判を下すかと言うと、単純明快、人の魂を秤で量って決めるのですね。そういう訳で、ミカエルさんは、秤を持った姿でも表され、従って八百屋さんでも魚屋さんでも肉屋さんでも、秤を使う商売の人の守護天使でもあります。写真はパリのノートルダム寺院正面、「最後の審判の扉」の浮き彫りの中の、「秤を持った天使」ミカエル。
最後の審判に使う位で、秤は正義や平等、真理の象徴ですね。弁護士さんとか、法律関係の事務所なんかの紋章に秤が使われるのもそういう事でしょうし、「てんびんばかりは重たい方に傾くに決まっている」訳ですね。「どちらへも傾かないなんておかしいよ」という事です。

ミカエルさんのもう一つの役割は、死者の魂を導く事ですね。黒人霊歌の「漕げよマイケル」は、死者の魂を導くミカエルを船を漕ぐ姿に見立てて(三途の川って訳じゃないでしょうが)歌った物だといわれてますね。ミカエルはフランス語でミッシェルですが、英語ならマイケルになります。これはまたギリシャ・ローマ神話のヘルメス・マーキュリーの役割でもありますね。ボッティチェルリの「春」の左端にいるのがマーキュリーで、先導役らしく彼はこの行列(?)の先頭にいます。彼の着ている服には逆さに燃える炎の模様があり、これは死の象徴です。(パリのノートルダムの正面浮き彫りにもこの逆さに燃える炎が見られます。)死の後にやってくる蘇りの春、これがボッティチェルリがこの作品で表現したかった事ですね。蘇る、復活する為には一旦死ななければならない訳で、イエス様がまさにそうでしたし、復活する為に、蘇る為に、人為的に「死」を創り出すのが「生贄」の儀式ですね。

再び写真はサン・ミッシェル・ド・バティニョル教会にあるもう一つのミカエル像です。
もう一つ。モンサンミッシェルの見学順路の最後の所にいる、これは石の彫刻の大天使ミカエル。
さて、大天使ミカエルは日本の守護天使でもありますね。フランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教を伝えた時にそう定めています。(後にミカエルは外されて、ザビエル自身が日本の守護聖人になったんだそうですが。)

こんな最強の天使もついててくれるんですから。大変な時ではありますけど、頑張りましょう。日本人。

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