顔見知りのフランス人ホテルマンが話しかけて来て言う事には、
「なぁ、このマークって、日本では何か特別な意味があるのかい?」
で、エレベーターの所に連れて行かれました。彼が指し示したのは緊急用ボタン。
「ん?非常ベルのマークじゃないか。これは世界共通で緊急用だろ…?」
しかし次の瞬間、彼の言いたい事がわかったのでした。
「あぁ、日本人が緊急でもないのにやたらと非常ボタンを押すって話かい?」
「そうなんだ、どういう事なんだ?」
パリではよくあるんですがね。御覧の通り、このエレベーターには「開く」ボタンはあるけど「閉じる」ボタンが無い。
そう、「開く」ボタンの隣には「閉じる」ボタンがあると思い込んでいる日本の方は、エレベーターに乗り込むと同時に、良く見もしないで(「開く」ボタンの隣にある)非常ボタンを押してしまうのですね。
で、ホテルの人がエレベーターに駆けつけると…
非常ボタンを押した当の日本人は「一体何事?」てな感じでキョトンとしてる。
迷惑な話です、確かに。
まぁ、勿論「閉じる」ボタンがついてるエレベーターもありますよ。
もう一つ日本の方がやる勘違いに、ホテルから出る時に、地上階(0階)に行かなきゃいけないのに、1階(日本で言う2階)のボタンを押してしまうというのがあります。これは本人が
「あれ?ここロビーじゃない… あ、そうか、こっちではロビーは0階だったっけ」
で済む話ですけど。
パリ(に限らずヨーロッパは大抵そうでしょうが)では0階、1階、2階と数えますのでね。
イギリスの「G(グランド・フロア=地上階)」の表示と同じく、フランス語には地上階を表す「RC」ってのもありますよ。
Rez de Chaussee は日本語にすれば…道路のレベル…とでも訳しましょうか。頭文字をとって「RC」です。画像にある「ES」ってのは「Entresol」中二階ですね。このエレベーターでは特別な鍵か何かが無いと中二階のボタンは押せない様になってますから、従業員専用、関係者以外立ち入り禁止なんでしょうが、ホテルによっては中二階にバーやレストランが入ってる事もありますし、それは建物によって様々です。
何と言うか、日本人旅行者の方って、よく
「日本の感覚では…」「日本だったら…」
と言いますが、ここは日本じゃないからね。
日本では「開く」ボタンの隣には「閉じる」ボタンがあるのが当たり前でも、世界中どこへ行っても同じとは限りませんのでね。
と言うか、ボタンを押す前に、自分が何のボタンを押そうとしてるのか、その位は自分の目で見た方が宜しいかと。
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